― オリガルヒの惨劇、狂気の血縁、そして雪原に散る愛 ―
(Masha14歳の時の作品。Mashaの名前の由来になった)
Synopsis(あらすじ)
【第一幕:オリガルヒの栄華と惨劇】
ソ連崩壊の混乱期、セルゲイ・レーヴィンはどういうわけか莫大な出世を遂げ、国の工場を譲り受けて新興財閥(オリガルヒ)となった。 セルゲイと妻タチアナの間に生まれたマーシャは、栗毛に青い瞳を持つ美しい少女。贅沢と賄賂に耽る両親を冷ややかな目で見つめながらも、愛する父セルゲイと妹カーチャと共に暮らしていた。
やがてプーチン政権期となり、両親は離婚。母タチアナは元KGBの男エフゲニー・ガイロフと再婚する。父について行きたかったマーシャだったが反対され、妹カーチャと共に母とガイロフのもとへ引き取られる。そこにはガイロフの連れ子で、冷たい黒髪の少女ナターシャがいた。
直後、父セルゲイが政争に敗れて投獄される。 やがて釈放された父に会うため、マーシャとカーチャはかつての豪邸へ向かう。しかし忘れ物をして遅刻したマーシャが目にしたのは――シャワー室一面の血の海と、惨殺された父と妹の遺体だった。 呆然と立ちすくむマーシャを救ったのは、司祭のポポフだった。彼の助けで追手から逃れたマーシャは、己の過去を捨て「マーシャ・ポポーワ」と名乗って潜伏の人生を歩み始める。
【第二幕:偽りの愛と運命の悪戯】
医者を目指して大学に入ったマーシャは、近所の少女リューダと元彼ディーマの復縁を仲裁するうち、ディーマから好意を寄せられ交際を始める。しかし、ナルシストで冷淡なディーマの本質を知り破局。 実はディーマは、女工アーラの婚外子であり、その実の父親はあのエフゲニー・ガイロフ(マーシャの義父)であった。
その後弁護士となったディーマは、父エフゲニーへの復讐のためか、オリガルヒの息子コーリャと結婚していたナターシャ(エフゲニーの連れ子)に接近。彼女をたぶらかして離婚させ、娘アーネチカを産ませて駆け落ちする。しかし愛のないディーマは愛人ナディアを作って蒸発し、詐欺やマフィアの暗黒街へと手を染めていく。
【第三幕:ヴォルゴグラードの再会と引き裂かれる銃弾】
医者となったマーシャは赴任先のヴォルゴグラードで、死に際に「セリョージャ!カーチャ!」と叫ぶ老人を看取る。老人の息子セリョージャはチェチェン紛争で行方不明、娘カーチャはテロで死亡していた。 数ヶ月後、川に飛び降りて運命的に病院へ運び込まれた男――彼こそが、生存していた息子のセリョージャだった。マーシャの優しさに心を許したセリョージャだったが、妻スヴェータが再婚していたことを知り打ちひしがれる。
その頃、エフゲニーと若い愛人ナディア(ディーマの元愛人)は、資産目当てでマーシャの暗殺計画を企てていた。異変を察知したディーマは阻止に走るが、刺客の撃ち間違いにより、マーシャの隣にいたセリョージャが撃たれて命を落とす。
この事件をきっかけにマーシャの身元が暴露され、現場は混迷を極める。 弁護士としてマーシャを庇うディーマ、罪を擦り付け合うエフゲニーとナディア、混乱するナターシャ――。
渦中で再び心を通わせるマーシャとディーマ。過去の罪を悔いるディーマに、マーシャは自首を勧める。ディーマが暗黒街から足を洗ったその瞬間、マフィアの復讐の銃弾が二人を襲う。 身を挺してマーシャを庇い、息絶えるディーマ。かつての冷酷さを捨て、愛に殉じた彼の後を追うように、流れ弾に当たったマーシャも静かに息を引き取るのだった。
Character Profile(登場人物)
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マーシャ・レーヴィナ / マーシャ・ポポーワ
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オリガルヒの娘 / 医師。父と妹を惨殺され、司祭ポポフの手で「ポポーワ」として偽名で生きる。過酷な運命の中でも優しさを失わない芯の強い女性。
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ディーマ(ドミトリー)
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弁護士 / エフゲニーの婚外子。冷淡でナルシストだったが、マーシャへの執着と父への復讐心から暗黒街へ落ちていく。最期はマーシャを庇って命を落とす。
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セルゲイ・レーヴィン
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マーシャの父。ソ連崩壊に乗じてオリガルヒとして巨万の富を築くが、政争に敗れ悲惨な末路を辿る。
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エフゲニー・ガイロフ
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元KGB。タチアナと再婚し、裏で惨劇と陰謀を操る黒幕。ディーマの実父。
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ナターシャ
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エフゲニーの連れ子。冷酷な性格だったが、ディーマに翻弄され過酷な運命を辿る。
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セリョージャ
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チェチェン紛争の生存者。マーシャの優しさに救われるが、彼女を狙った銃弾の犠牲となる。
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ポポフ司祭
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父と妹を殺され途方に暮れるマーシャを救い、新しい名前と生を与えた命の恩人。
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Author’s Commentary(作者解説)
ソ連崩壊から現代ロシアへ至る激動の歴史の裏で、金と権力に狂わされた大人たちと、その犠牲となった子供たちの悲劇を描いた愛憎サスペンスです。
二重三重に交差する血縁(エフゲニー、ディーマ、ナターシャ)と、消し去れない過去の惨劇。 ヴォルゴグラードの雪原で、一度は歪んでしまったディーマが最後に魅せた「愛する人を庇って死ぬ」という贖罪と、逃れられない死の運命が切なく響く作品です。